日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 502
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発表要旨
津波の侵入速度を考慮した4Dハザードマップの作成とその有用性
*岩井 優祈
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抄録
本研究は,GISを用いて津波の侵入速度モデルを実際の地域に適用することで,津波遡上後の経過時間を考慮した被害の時空間変化を表す4Dハザードマップの構築を試みる.研究地域は,津波による想定死亡者数が全国1位の約95,000人(内閣府2012)とされる静岡県の中でも,平野が広がるため内陸まで広範囲の浸水が予想される浜松市沿岸部を選定した.
モデルを構築した結果,住宅密集地では住宅が津波侵入の障害となり,速度が低下する状況を反映することができた.また,陸上における津波の伝搬時間ごとに浸水域メッシュを分割することで,海岸付近に立地する津波避難施設から順に使用不可能になる状況を示すことができた.これをもとに,津波到達時間ごとに異なる津波避難施設への避難可能時間を考慮したネットワークバッファを発生し,人的被害を算出した結果,①早期避難率が高く,避難の呼びかけが効果的に行われた場合では,避難未完了者の人数は27,252人,②早期避難者比率が低い場合では,46,699人になることが明らかになった.
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© 2017 公益社団法人 日本地理学会
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