抄録
■構成: 1.ルーマニアにおけるエコツーリズム 2.地域概観(ルーマニア・トランシルヴァニア地方・マグラ村) 3.事例紹介 4.課題
■概要:本研究はルーマニアにおけるエコツーリズムをめぐる状況・政策・組織・将来性等について概観した上でルーマニア・トランシルヴァニア地方・マグラ村における"グリーン・アントレプレナーシップ"を事例に、エコツーリズムの担い手と地域との関係等を具体的に検討した。今回紹介するドイツ系移民のH&K夫妻は同村内でペンションを営みながら、エコツーリズムの活動を行っている。ペンションやアウトドア活動(山登り等)において、彼らの知見や経歴が生かされ提供される多種多様な活動・サービスは、西欧諸国出身の顧客に受け入れられている。そして彼らが現在マグラ村で行っているツーリズム活動は革新的な諸要素を抽出しながら、ひとつの起業モデルとして提示しうるものあった。なお、彼らの今後の活動は拡大ではなくサービスの多様化と質の充実に向かう計画である。彼らの活動による地元経済への効果など地域コミュニティへの影響は大きいが、残念ながら彼らのことを敵視する住民も少なからず存在し、両者の関係は決して良好とはいえないなどの問題点が見出された。