主催: 公益社団法人 日本地理学会
半乾燥地域に位置する天山山脈北部地域において,山岳氷河と山岳永久凍土は,山麓に分布する都市や灌漑農地へ真水を供給する重要な役割を担っている.天山山脈北部地域では,氷河や永久凍土の現状把握は重要な課題であるが,山岳氷河の変動に関する研究が多くある一方,山岳永久凍土の研究報告はイリ山脈に限定されている.山岳永久凍土は地表面下に存在するため,地形的存在指標となる,岩石氷河を用いて空間分布を把握する手法は試みられてきたが,岩石氷河内部に永久凍土ないし氷河氷等の存在を従来の手法である表面形態の地形的特徴や植生の被覆状況から判断するのは困難である.そこで本研究では,半乾燥地域に位置し,山岳域からの水供給の貢献が大きい天山山脈北部地域を対象に,ALOS-2/PALSAR-2を用いた差分干渉SAR解析により,正確な山岳永久凍土の空間分布の把握を試みた.