日本地理学会発表要旨集
2018年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P118
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発表要旨
GIS教育に向けた条件の検討と地図パズルシステムの開発
*根元 裕樹
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抄録
はじめに
高校では、2022年度よりGIS(地理情報システム)が必修化が決定した(文部科学省 2018)。しかし、谷・斎藤(2017)によると、GISを授業で活用した教員は23.8%であり、大半の教員がGISを活かせていない。教材としてGISを活かす方法が発表されているが(田部 2018等)、地理を担当する教員は必ずしも地理専門ではなく(井田2016、谷・斎藤 2017)、2022年度までに地理を担当する全教員がGISの知識を身に付け、指導するのは困難である。

そこで本研究では、高校にてGISが教材として導入できない理由を筆者のGISの指導経験や自身の経験、高校教員へのヒヤリング等を基に検討し、解決策を提案した。
高校にGISが教材として導入できない理由の検討
高校にGISが導入できない理由として、教員の問題と設備の問題がある。教員の問題としては、大きく分けてGISの概念の不理解とGISの操作への不安の2つが考えられる。

GISの概念の不理解として、多くの躓く点があるが、レイヤ構造の不理解が最も重要と考えられる。レイヤ数が少なければ良いが、数が増えると、情報を処理しきれない者が見受けられる。色分けやシンボル表示された複数のレイヤ情報を現実世界として想像できないことが躓く理由のように見受けられる。

GISの操作への不安は、GISの操作は、複数の属性情報を持つ図形データをまとめて扱うため、図形を選んで、その中から属性情報を見たり、変更したりすることである。これは、直感的で簡潔な操作とは言いがたい。その上、コンピュータ操作への不安が根強い者もおり、GISの操作を覚えることは非常に難しいものになっている。

設備の問題として多く聞かれることは、パソコン教室の不足やパソコン教室を利用できたとしても購入費不足やパソコンのインストール制限等が挙げられた。谷・斎藤(2017)でも、設備に関する問題が課題として多く挙げられている。
解決策の提案と地図パズルシステムの開発
2から、普及している汎用的なGISは、高機能で様々なことができるが、その分複雑になっており、初心者がいきなり使うにはハードルが高いと考えられる。汎用的なGISを利用する前に、緩衝材となるようなGISが必要であると考えられる。2の理由を解消するためには、レイヤ数を少なくし、図形を選択して、複数の属性情報を扱うようなGIS特有の操作を直感的で簡便な操作に変更したGISが必要であると考えられる。インストールが不要ということを考えると、WebGISが比較的利用しやすいと考えられる。

本研究では、これらの条件を満たす解決策の1つとして地図パズルシステムを開発した。汎用的なGIS利用の練習になるように、単純だがデータ編集も行えるように開発した。

WebGIS上から土地利用を読解し、各図形の土地利用を選ぶだけの操作である。自分が選んだ土地利用の組み合わせに応じて、3D画像を生成し、見られる。よって、レイヤの情報を現実世界ではどのようなイメージとなるのか想像を手助けすることができる。地理教育で一般的に行われる地形図読図と共に利用することによって、紙地図とGISも意識させることができる。

このように、いきなり汎用的なGISを利用するのは、難しいと考えられるため、ステップアップの橋渡しになるようなレイヤが少なく、直感的で簡便な操作のGISが必要であると考えられる。

謝辞

本研究は、日本科学協会の笹川科学研究助成による助成を受けたものです。

参考文献

井田仁康 2016. 高等学校「地理」の動向と今後の地理教育の展望. 人文地理 68(1): 66-78.

谷 謙二・斎藤 敦 2017. 高等学校におけるGIS利用の現状. 2017年度日本地理学会秋季学術大会発表要旨集. https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2017a/0/2017a_100049/_pdf/-char/ja (最終閲覧日:2018年7月1日)

田部俊充 2018. 高校地理歴史科新科目「地理総合」の課題と方向性 ―GISへの取り組みを中心に. 日本女子大学紀要 28: 47-57.

文部科学省 2018. 『学習指導要領』. http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/11/1384661_6_1_2.pdf (最終閲覧日:2018年7月16日)
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© 2018 公益社団法人 日本地理学会
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