抄録
1.日本地理学会災害対応本部の概要
日本地理学会「災害対応本部」は、2011年の東日本大震災への対応以来、大規模な災害が発生した際、災害対応委員会および災害対応担当の理事、理事会が緊急に連絡を取り合い設置する手順を定めている。
「災害対応本部」の業務は、1)該当の災害に関連する情報を収集・整理し、地理学会全体として発信すべき情報をまとめる、2)まとめられた情報を、災害担当理事および理事長に伝え、「日本地理学会」の名前で、HP ほかで公表する、3)マスコミ、自治体、一般からの問い合わせ、また他の学会などから合同調査などの依頼等があった場合は、「災害対応本部」で対応する、などであり、これまでにも2016年4月の熊本地震の際に災害対応本部を設置し、情報の発信を行った。
2.平成30年7月豪雨災害への対応
2018年6月 28 日~7月8日にかけて、台風7号や梅雨前線の影響により西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨となり、各地で甚大な被害が発生し、気象庁は、この豪雨について「平成 30 年7 月豪雨」と命名した。
日本地理学会災害対応委員会は7月7日頃から情報の収集を開始し、7月8日には「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」のサイトを立ち上げた。さらに、災害の拡大を受け、7月10日に「災害対応本部」の立ち上げを理事会に要請し、7月11日に設置された。
3. 主な活動
2018年7月16日現在、災害対応本部は水害(責任者・海津委員)および土砂災害(責任者・須貝委員)とともに、広島県、岡山県、愛媛県等の拠点委員を中心に、情報の収集と集約、災害の状況のリスト作成、「地理院地図」などを利用したマッピングをすすめ、随時「災害対応のページ」で公開している。
また、防災学術連携体に対しても情報提供を行い、7月16日の防災学術連携体「平成30年7月豪雨緊急集会」(建築会館)では、日本地理学会より海津正倫会員による報告(倉敷市小田川流域の地形と水害)を行った。
広島県では広島大学の後藤会員と熊原会員、岡山県は岡山大学の松多会員、愛媛県は愛媛大学の川瀬会員と石黒会員が中心となり、情報の収集・集約をすすめている。このほか九州地区、四国地区の拠点委員はじめ、全国の災害対応委員・拠点委員が協力して地理学会としての情報の発信を行っている。
4.秋季大会緊急シンポジウム
報告は下記の6件程度を予定しており、その他ポスターセッションも予定している。
・海津正倫委員(水害)
・須貝俊彦委員(土砂)
・石黒聡士委員(愛媛)
・後藤秀昭会員(広島)
・松多信尚委員(岡山)
・松原 宏本部長(人文分野)