抄録
中国の改革開放政策の成果として、経済力の向上が良く注目されている。経済活動の自由化は改革開放政策の大きな特徴とも言えよう。経済活動に伴う人の移動が活発となり、中国国民のライフスタイルを大きく変えた。そして、経済力の向上によって、可処分所得が増加し、人々は衣食住だけの基本生活には満足できず、非日常的な体験を求めて観光にも金銭を費やすようになり、収益を追求する経済活動による人の移動に加わって、所得を処分する移動がもっと活発になってきた。
このように、改革開放前に厳しく規制されてきた人の移動は、改革開放後に観光という形態で移動先の地域に著しく影響を与え、地域を変容させる。本稿は、中国では経済後進地域と言われる雲南省において、1997年12月に世界文化遺産に登録された麗江古城(旧市街地)を事例として、観光開発に伴う地域の変容を考察する。