抄録
ネパール西部を流下するウエストラプティ川は流域面積約6,500 km2を持つガンジス川の支流である。蛇行流路や網状流路を形成しながら流下するインド・ネパール国境付近においては、上流側からの大量の土砂供給に伴う顕著な流路変動が生じている。このような山地河川の土砂輸送や流路変動プロセスを考えることは、河川近傍における人間活動の場がどのように成立し、どのような脆弱性を持つのか理解する上で重要で、日本の河川にも共通する課題である。そこで著者らは、流域西部の灌漑用堰から流域最下流部までの30 km程の区間を対象として調査を進めてきた。本発表では、地形図や空中写真・衛星写真による地形解析の結果と、2017年11月上旬(乾季)に実施した現地調査の結果を報告する。