日本地理学会発表要旨集
2018年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P342
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発表要旨
ニュージーランド, セントラルオタゴのブドウ栽培と気候環境
*田上 善夫森脇 広稲田 道彦
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抄録

ニュージーランドでは前世紀末頃より農業生産が大きく変化しているが、その傾向はワイン生産に顕著である。南半球での生産地にくらべ最も高緯度にあたるが、そのブドウ栽培の背景を気候的特色より明らかにする。とくに南島のセントラルオタゴと,北島のオークランド・ワイヘケにおいて、2016年12月に小気候観測を中心とする調査を行った。
 セントラルオタゴは夏季には、この地域の中央にあたる盆地部で高温が現れる。また低温の地域は多雨,高温の地域は少雨の傾向がある。小気候観測地域は東西80km×南北100kmほどで,Clutha川などが流れ、急峻な峡谷と盆地が形成される。峡谷部は上流からKawarau,クロムウェル,ロクスバラに分かれ、その間にはGibbston,Bannockburn,アレクサンドラなどの盆地がある。観測は気温・照度を中心とし、データロガーを10台で定点観測,1台を自動車の前部に取り付けて移動観測を行った。同時に位置をGPSカメラにより記録した。
 気温観測から,アレクサンドラ盆地で最も高温となるのは,南部を限る小さな斜面部である。北東の斜面上方は,盆地下部にくらべて低温の傾向がある。高温となるところは日照を受け南からの風が遮られるのに対して,斜面上部は北向き斜面であり風も受けやすいことが影響すると考えられる。
 このアレクサンドラには,世界最南端のワイナリーがある。岩山の北向き斜面にブドウ園が広がる。ブドウ栽培地は盆地内に広がり,北向き斜面に多い。高温で,乾燥している地である。その出現には,以下のような場合が考えられる。1) 盆地にあって冷気が侵入しないことである。2)周囲が山地よりも丘陵性の地である。3) さらに一帯の標高は低いことである。セントラルオタゴは南アルプスの東側に位置し,山脈を越えてフェーン性の昇温し乾燥した気流が吹く位置にあたる。またアルプスの雨影となることも降水の減少にかかわると考えられる。

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