抄録
格子データは空間内を格子状に分割されたピクセルで構成され、おもにカテゴリー値、連続値などにより地理的事象を表現する。格子データの精度は カテゴリー値では精度分類表より全体精度、ユーザー精度、プロデューサー精度、また連続値ではRoot Mean Squared Error (rmse)やピアソンの積率相関係数(r)といった指標で表現するのが一般的であるが,これらの方法ではデータ内の精度を単一の数値で表現するため、地域差を明らかにすることができない。格子データは多くの場合、グリッド数が膨大でありすべての値を精査することは困難である。そのため精度評価にはランダムな地点において基準となる値を取得した参照データを作成し、精度評価を実施する。本研究では空間精度がトブラーの第一法則に従うと仮定し、地理的加重(GW)モデルをもちいて精度評価指標を空間拡張することを目的とする。近年ではデータのオープン化が活発になり、多くの格子データの入手が容易になってきているが、データの精度についてはあまり着目されてこなかった。本手法によりデータの使用者・作成者それぞれに精度分布を視覚的に提示することができ、格子データ内の精度の偏りを理解することが容易となる。