大谷亮吉が伊能家に残る記録の断片であるとして、その著書に採録している表を解読した。伊能はこの表で、星測点間の東西距離と南北距離を記述している。距離は大図の縮尺(1/36000)すなわち、緯度差1度=28.2里を101.52寸とする値で示されている。東西距離についても同様である。基点からこの区間距離を累算すれば、次々に星測点の座標が定まる。 さらに南北座標については、江戸深川黒江町(伊能自宅)を原点とする座標値も示されている。
これらのことから、全国で1220余点ある星測点はすべて座標値を持っていた可能性がある。このことは伊能図の作図法および投影法を考察する上で大きな意味を持っている。