2015 年 31 巻 4 号 p. 222-230
こどもの下肢装具の治療可能性について,臨床経験を基に論じた.歩容異常への対策の立案(Plan),装具処方(Do),装具装着下での歩容評価(Check),修正(Act)を繰り返すPDCAサイクルにより装具処方の汎化を試みた.装具製作に際しては,骨格アライメント,特に距踵関節の安定化,距腿関節運動の正常化,前足部アライメントの正常化が重要であった.こどもの装具治療では,乳幼児期の歩行開始前から筋緊張異常が確認されれば,踵接地を促す早期介入が有効である.その理由は,骨格アライメントの矯正位保持により多関節筋が適切に使用され経過観察例よりも歩容に良い影響を与えるためと考えられる.