主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2019年度日本地理学会秋季学術大会
開催日: 2019/09/21 - 2019/09/23
全国にある多くの自治体が実施している大気常時監視局の気象観測データは,気象庁のAMeDASを補完する形で利用されることもある.関東地方南部(茨城県南部・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)の大気常時監視局のうち一般局の風計測環境の問題点を報告する.
国立環境研究所の「環境数値データベース」に格納されている一般局の位置情報を基に,Google Mapにて各一般局を探し,一般局とその周辺の環境情報を確認した.また,Google Street Viewの画像を用いて,風向・風速計の設置高度と周囲の事物の高度差を確認した.Google Mapでは一般局が見つからない,もしくは Google Street Viewの画像で測器と周囲の事物の高度差がはっきりとしない局については,2019年6月末から7月にかけて,現地を訪問し,目視で風計測環境の確認を行った.
風向・風速計の設置高度は,自治体ごとに異なっている.神奈川県・東京都では,建物密集地域で建物屋上に風向・風速計を設置している一般局が相対的に多い傾向にある.他方,その他の三県では地上に設置した局舎の屋上もしくは近傍の電柱上に風速計が設置されている地点が多い.特に埼玉県は風向・風速計設置高度が低い一般局が多い.
風向・風速観測が周辺地物や地形によって影響を受けていると考えられる局数は5都県全体では263局中96局と見積もられた.樹木の影響が強い局が48地点,建物の影響が強い局が40地点である.特に埼玉県では約70パーセントの観測局が周辺環境の影響を受けていると見積もられた.