日本地理学会発表要旨集
2019年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P048
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発表要旨
変位量分布に基づく糸静線活断層系神城断層南部の活動特性
*水谷 光太郎
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抄録
神城断層は糸魚川-静岡構造線断層帯北部区間を構成する,主に東側隆起の活断層である.2014年11月に神城断層北部を震源とするMw6.2の地震が発生し,地表地震断層を出現させ,多くの被害をもたらした.地表地震断層が現れた北部を中心に変位量調査やトレンチ調査が行われ,断層の性状が解明されてきており(石村,2015;廣内,2015;2017;2018;Katsube et al,2017など),池田(2016)では過去に異なる規模のイベントが繰り返し発生していることを指摘している.一方2014年には活動していない神城断層南部(三日市場-借馬)については,活動履歴や変動地形の変位量に関する調査がいくつか行われているが(松多ほか,2006;澤ほか,2006;丸山ほか,2010;Katsube et al,2015,原口ほか,2016),断層の性状評価において地形面のデータは不十分である.

 そこで本研究では,神城断層南部において変動地形から変位量を求め,変位量分布に基づいて神城断層南部の活動特性を明らかにする. 

 本研究では次のことが明らかとなった.

1,神城断層南部地域において過去5000年間に3-4回の活動履歴があり,そのうち最新の活動である2750年前以降のイベントにより最大でL3面の約3mの変動崖が形成された可能性がある.

2,神城断層南部地域においてL2面形成期(4-7ka)以降よりもL1面形成期(10-20ka)以後- L2面形成期(4-7ka)以前において一回ごとの活動規模が大きいか,6回以上のイベントが想定される.

一方で神城断層南部地域内だけでも局所的な変位量の違いが想定され,変位量分布のデータを高精度かつ高密度に収集し,性状の特性を解明することが求められている.
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© 2019 公益社団法人 日本地理学会
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