抄録
本研究では,自治体が運営する気象観測所のデータを用いて,山陰地方東部における強風の出現頻度および突風率の時空間的特徴について把握する.そのうえで,風速を階級別に分類し,強風出現時の気圧配置パターンについて明らかにした.解析の結果,10年間での強風発生日は59日間存在した.地点ごとに見た場合,鳥取から塩津においては,南寄りの風向(南南東から南南西)の出現頻度が最も高かった.これは,いわゆる中国山地からの “おろし風”の発生を示唆しているものと予想される.一方,境は北東方向,岩井は北西方向の出現頻度が高い傾向であった.強風日を記録した最多月は青谷を除いて4月あるいは10月に集中していた.一方,全地点で見た場合には,暴風日における最大瞬間風速を記録した時間帯の風向は岩井,鳥取,米子,境の4地点では12,1月の冬季は主に西風からの季節風が主であった.しかしながら,鳥取,青谷,倉吉,塩津,米子,境においては南よりの風が約20%を占めていた.