日本地理学会発表要旨集
2019年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 702
会議情報

発表要旨
ネパール東部, クンブ=ヒマールにおける農牧業と集落の変容
*白坂 蕃渡辺 悌二韓 志昊孫 玉潔
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
ネパール東部、エヴェレストを含むKhumbu Himal地域には牧畜と、農耕を組み合わせたagro-pastoralismがみられる。

Khumbuの集落は年間を通して居住する集落である「本村」、および「季節的に居住する集落」である冬村と夏村の二つがある。

現在のクンブ地域で飼育される家畜は、いわゆるヤク(一般名称yak;オスはyak, メスはnak)、およびヤクと高地ウシとのハイブリッドである一代雑種F1(オスはゾプキョzopkiok, メスはゾムzom)であり、yakとzopkiokはKhumbu地域の輸送を担っている。

Khumbu Himalでは寒冷であるため夏季にのみに耕作が可能であり、いわゆる、一年一作である。夏季モンスーンのもたらす降雨にたよっており、天水に依存した畑作である。その耕作限界は約4500mであり、森林限界は約4000mである。

Khumbu Himal地域は、ほぼ3500mより標高の高い地域にあり、そのなかで標高差1500mに及ぶ範囲に分散する耕地と放牧地との間を季節に応じて頻繁に人間と家畜とが移動することによって農牧を複合した生業agro-pastoralismが成り立っている。
1970年代以降、牧畜や集落は観光化により大きく変貌している。
著者関連情報
© 2019 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top