日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P161
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発表要旨
北海道函館市の水環境に関する研究(1)
*小林 朋子小寺 浩二矢巻 剛猪狩 彬寛
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抄録

Ⅰ はじめに

 地球温暖化による自然災害等が増加傾向となり、環境についての意識も高まりつつある中で、河川管理のありかたについても「河川環境の整備の保全」がますます重要になってきている。函館市には水環境についての研究がほとんどなく、駒ヶ岳、恵山の活火山があるが名水百選に選定される湧水もない。そこで、函館市の河川について、現状を把握し水環境を確認することを研究目的とする。

Ⅱ 対象地域

 函館市は北海道の南端にある本州青森を望む渡島半島の南東部に位置する。南西部にある函館山は陸繋島で、亀田半島東部には活火山の恵山があり、函館湾を囲むように函館平野が広がっている。三方を海に囲まれ対馬海流の影響もあり、道内でも降雪量が少なく温暖な気候である。土地利用については、60%が山林となっている。人口は256,772人(平成31年3月末現在)であり、減少傾向にある。

Ⅲ 研究方法

 2019年3月から11月にかけて4回の現地調査を行った。現地ではAT(気温)・WT(水温)・EC(電気伝導度)・pH(水素イオン濃度)・RpH(曝気後水素イオン濃度)・流量(川幅・深さ・流速)、COD(化学的酸素消費量)を測定した。採水したサンプルは全有機炭素の測定と主要溶存成分(3月のみ)の分析を行なった。

Ⅳ 結果・考察

 水質の汚染が顕著となっているのは、市街地の人口密度が高い地域でも国道5号線沿いの常盤川、小田島川、石川、中野川の4河川であることが示された。(図2)中野川は一部の調査地点が温泉排水横の為、その影響を受けている。湾岸部は海水の影響と考えられる。内陸部は年間を通して低い値が示されている。東部と南東部においても比較的低い値となっている。

 主要溶存成分の結果より上流域や北部では、深層地下水の組成を示している地点が多い。全般的に一般的な河川水の組成となっている地点が多くみられた。駒ヶ岳、横津岳、恵山周辺では火山の影響を受けている地点がみられた。

Ⅴ おわりに

 以上から、流域環境が水質に及ぼす影響を確認することができた。市街地の人口密度の高い地域の汚染が顕著であった。人の目に触れない上流域や山間部のごみの不法投棄や、森林伐採など多くの課題があることが確認された。自然環境の保全は水環境保全にもつながる。「身近な水環境の全国一斉調査」などにより、水環境に対する関心と個々の意識改革(和田ほか 1995)が重要である。

参 考 文 献

和田 安彦, 三浦 浩之, 森兼 政行(1995):生活排水の河川環境への影響と周辺住民の認識, 環境システム研究, 23, 150-156.

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