日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 518
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発表要旨
2018年7月に日本で発生した高温現象時への太平洋・日本パターンの影響と夏季アジアモンスーンの季節進行の関係性
*神澤 望高橋 洋
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抄録

太平洋・日本(PJ)パターンは,北半球の夏季に熱帯のフィリピン周辺の対流活動が活発だと中緯度の日本を含む北西太平洋域が平年より高気圧が強まるという特徴を持ったテレコネクションである.日本の夏の気候に影響を与えることが知られており,2018年の7月中旬から下旬にかけて日本の広範囲で発生した高温現象に関してもPJパターンが部分的に寄与が指摘されている.そこで本研究は,2018年の日本ので発生した高温現象について, PJパターンをsub-seasonal(約15日)なタイムスケールで着目しながら調べた.高温現象発生時,日本上空では平年より太平洋高気圧が強く,フィリピン周辺域では対流活動が活発であり,PJパターンと対応していた.PJパターンの季節進行を調べると,7月後半はPJパターンの応答として中緯度に現れる高気圧偏差がちょうど日本上空に現れやすい時期だった.PJパターンの中緯度の応答が現れる位置が移動するのは背景場である夏季アジアモンスーンの循環場の変化が影響していると考えられる.また,7月に中緯度の太平洋高気圧・熱帯のモンスーントラフがそれぞれ発達する.この夏季アジアモンスーンの循環場の季節進行自体が7月下旬のPJパターンを影響を出やすくさせた.

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