日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P187
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発表要旨
信州小諸・氷風穴周辺の地すべり地形と風穴小屋内の氷の消長
*清水 長正前田 富孝前田 重雄土屋 清
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抄録

小諸の氷風穴は,御牧ヶ原北東端の千曲川に面した大規模な地すべり地形の一部に位置する。ここで2016年11月から2017年4月までの冬季における冷風穴と温風穴の温度変化を記録した。冷風穴や温風穴の温度は日較差がほとんどない。冷風穴では,12月半ばからマイナスとなり4月に至っても0℃を上回らない。この間の最低は1月26日午前7〜9時のマイナス4.2℃。いっぽう温風穴では,12月末以降4月初めにかけて徐々に下がる傾向があるものの,冬季に関わらず10℃以上で推移していた。4月8〜10日には急に外気温が上昇しており,それに合わせて温風穴の地温も外気温の低い部分に一致する傾向がみられる。これは温風穴の冬季の吹き出しから春季の吸い込みに転じる現象を反映した結果とみなされる。2019年1月から6月まで,1日1回のインターバル撮影により,4号風穴奥の石垣に生成される氷の変化を記録した。結果は,2月4日以降に氷が生成されはじめ,3月4日に至って大きく生長し,4月10日までそれが維持され,それ以降徐々に小さくなり,6月4日に小さい氷体を残すのみ,という氷の消長を記録することができた。

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