日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P146
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発表要旨
平成28年熊本地震3年半経過時点における住民の防災対策状況
*竹内 裕希子大瀬良 俊二鈴木 康弘奈良 由美子須貝 俊彦山口 勝
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抄録

平成28年熊本地震は,布田川断層帯と日奈久断層帯の活断層活動に起因する地震で,2016年4月14日21時26分に震度7の前震が発生し,わずか28時間後の4月16日1時25分に震度7の本震が発生した。震度7が2回発生した地震は観測史上初であっただけでなく,前震・本震以外にも震度5強以上の強い揺れが熊本県内各地で22回,発災後 15 日間において震度1以上が 2,959 回発生しており,阪神・淡路大震災(230 回),新潟県中越地震(680 回)と比べても多いことが特徴である。

人的被害は直接死50名,関連死222名(2020年1月現在)であり,住家被害は全壊8,642棟,半壊34,391棟,一部破損155,113棟であった。熊本県民の1割にあたる183,882名が855箇所の避難所に避難したがその中には車中泊等は含まれていない。生活再建の足がかりとして県内16市町村110団地4,303戸の応急仮設住宅,13,581戸のみなし仮設住宅が設置された。特に被害の大きかった熊本県上益城郡益城町では1,562戸の応急仮設住宅が設置された。

地震から3年半が経過し,道路や建物の復旧,自宅再建,災害公営住宅の建築が進む一方で仮設住宅を出る目処が立たない住民もいる。

 本稿では,住民アンケート調査結果を基に熊本地震後3年半を迎えた時点における益城町住民の次の災害への取組み状況,防災教育への考えについて報告する。

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