断片的証拠しか残されていないことが多い地形発達を理解するためには、経過を詳しく観察・計測できる地形発達実験がよい手掛かりとなると考え、降雨侵食と隆起による地形発達実験を長年にわたって続けてきた。地形発達実験を実際の地形発達の解釈に利用するためには、いろいろな条件下での実験を重ね、その全体像を理解することが必要であるが、実験の遂行には膨大な時間が必要なだけでなく解決すべき技術的問題も多く、これまでに失敗も含めて40回の実験を行ったに過ぎない。しかしながら、本年度ですべての実験を終了するにあたり、得られた知見を整理しておく必要を感じている。今回改めて,これまでの実験結果から、実験地形の発達、特に前回の発表時(2019年春)には明らかとは言えなかった砂山の透水性と降水量の複雑な影響、について解説を加えたい。