日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: S106
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発表要旨
ユネスコMAB活動の成果と課題
*松田 裕之
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抄録

生物圏保存地域(英語略称BR、日本での通称がユネスコエコパーク)は、生物多様性の保護を目的に、1971年に始まるユネスコ「人間と生物圏(MAB)」計画の一環として1976年に始まった。2015−25年のMAB戦略では、BRを私たちの世界が直面している主要な課題を理解し対処するために、社会のすべての部門と協力し、BRにおける持続可能な開発行動を通じて、持続可能な開発目標(SDG)に戦略的に取り組み、人々とその環境の幸福を確保するとうたわれている。「世界遺産は価値を保存し、BRは価値を創造する」とも言われるが、これらの点はジオパークと共通点も多い。しかし、少なくともジオパーク活動の盛んな日本や欧州では、BRの存在感が低いことは否めない。その理由として、再認定制度の欠如、専門監や現地視察の不備、予算の地元負担の不徹底、トップダウン的なネットワークなどがあげられる。半面、事業採算性を超えた理念を掲げ、地域の誇りに訴えることができたともいえる。これらの課題は、ユネスコ正式事業化したジオパークの将来にとって他山の石となるかもしれない。

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