日本地理学会発表要旨集
2021年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S201
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発表要旨
新たな高等学校地理教育体系における高大接続を考える
シンポジウム趣旨説明
*宇根 寛長谷川 直子井田 仁康
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抄録

1. はじめに/シンポジウムの目的

 2022年度より、高校における地理総合と地理探究の履修が始まる。この新たな課程の地理教育を実質的に充実したものにするためには、大学入試における受験科目としての地理の選択方法や、出題者としての大学教員の関わり方、また高校教員を育成する大学教職課程の教育内容など、高校までの地理教育体系を国民の地理リテラシーにつなげる大学の対応が必要である。つまり、高校における地理教育を高校だけの問題とせず、大学が主体的に参加することではじめて効果が出るものである。

 これに関連して、日本地理学会企画専門委員会では、2021年4月、その委員会の中に高大接続検討ワーキンググループ(以下WG)を設置した。このWGは企画専門委員会のメンバーを中心に日本地理学会地理教育専門委員会その他の日本地理学会員有志で構成され、高大接続に関する様々な議論を開始したところである。その中で、新たな地理教育課程に関しては、高校教員へ向けてはすでに色々な場所で情報提供がされているものの、大学関係者へ向けたものが実施されていないことが課題として指摘された。その一方で、大学入試については入試2年前予告があるため、新たな地理教育課程に対応した入試の変更を行うためには(各大学内での意思決定のプロセスにかかる時間も考えると)早期に情報提供が必要と考えた。

そこで本シンポジウムは、特に入試に関わる大学の地理学関係者へ向けて、新たな高校地理教育課程に即した入試を多くの大学で実現するために必要な情報を提供する機会として企画されたものである。多くの大学関係者の参加をお願いしたい。

2. 各登壇者の発表内容とシンポジウムでの位置付け 

 シンポジウムでの発表は、大きく分けて、現課程(地理A、地理B)の入試に関する現状の報告・分析と新課程(地理総合・地理探究)での入試の導入に関する見通し、内容の検討の二つに分けられる。以下に各登壇者の発表の概要を示す。

立命館大の矢野桂司氏は日本学術会議第24期の地理教育分科会の委員長として大学の教職課程の現状と課題についてアンケートを実施した。その内容も含め、大学における地理教育が何をすべきかを報告していただく。河合塾の佐藤裕治氏と代々木ゼミナールの宮路秀作氏より、現課程での地理入試について、センター・共通テストを中心に私立の個別入試・国立の2次試験も含めて、受験生の視点からのの現状と課題の報告をしていただく。大学入試センターの小関祐之氏より、大学入学共通テスト地理の目指すもの(どのような能力を育成しようとしているのか、それと高大をどうつなげようとしているのか)を中心に、現課程でのセンター・共通テストにも言及していただく形で解説していただく。

以下、4、5、6は新課程での地理入試の導入の予測、課題、地理関係者に知らせたい情報などをそれぞれ、入試種別ごとに事例的に話題提供していただく

独協大学の秋本弘章氏より、新課程での私大のセンター利用についての話題提供近畿大学の戸井田克己氏より、新課程での私大の個別試験に関する話題提供筑波大学の松井圭介氏より、新課程での国公立の2次試験に関する話題提供コメントとして2件を予定している。日本学術会議地理教育分科会学校地理教育小委員会委員長の竹内裕一氏より高大接続に関連するアンケートの実施予定について日本学術会議地理教育分科会大学地理教育小委員会委員長の由井義通氏よりコメント

最後に総合討論を行う。

多くの大学関係者の積極的な参加と発言を期待する。

参考文献

日本学術会議地域研究委員会・地球惑星科学委員会合 同地理教育分科会、提言「「地理総合」で変わる新しい地理教育の充実に向けて—持続可能な社会づくりに貢献する地理的資質能力の育成—」2020年8月25日.

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