主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2021年度日本地理学会春季学術大会
開催日: 2021/03/26 - 2021/03/28
1. 開催趣旨
日本の地理教育は、初等、中等、高等教育それぞれにおいて、持続可能な社会の実現に向けて中核の役割を担うべく、その意義の周知を図る必要があります。
第24期日本学術会議地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同地理教育分科会では、新しい地理総合に関する『学習指導要領』、『学習指導要領解説』が公表され、その全容が明らかにされたことを受け、その内容を確認するとともに、2009年3月21日には公開シンポジウム「「地理総合」で何が変わるか」(日本地理学会春季学術大会、専修大学)を開催し、日本の地理教育はどのように変わるのかを議論しました。そして、現場となる初等・中等教育だけでなく、教員養成を担う大学教育や関係省庁が取り組むべき様々な課題を整理し、新しい地理教育を今どのように推進すべきかを議論しました(『学術の動向』2019年11月号)。
その課題整理を基にして、地理教育分科会は、2020年8月25日に、提言「「地理総合」で変わる新しい地理教育の充実に向けて—持続可能な社会づくりに貢献する地理的資質能力の育成—」を発出しました。
2022年度からスタートする高校地理歴史科における「地理総合」の必履修化に際して、各教育委員会や校長をはじめ現場の高校教員の理解を得て、気候変動をはじめ深刻化する地球環境問題や防災・減災、持続可能な社会に向けて、社会全体で「地理総合」による生徒の学びを深めることが期待されています。
そこで、本シンポジウムでは、国や教育委員会などにおいて、地理総合の必履修化に向けての期待や課題を語っていただき、その課題に対して学協会をはじめ社会がどのようにサポートできるのかを明らかにします。
2. シンポジウムの構成
本シンポジウムでは、まず、第24期地理教育分科会委員長の矢野桂司から、(提言)『「地理総合」で変わる新しい地理教育の充実に向けて—持続可能な社会づくりに貢献する地理的資質能力の育成—』の概要を報告します。その後、提言で示された5つの具体的な提言、(1)「地理総合」による地理教育の改革、(2)地理的な見方・考え方を問う大学入試のあり方、(3)「地理総合」を支えるための大学地理教育の変革、(4)小学校・中学校・高等学校間及び諸教科間の関連性を活かした地理教育改革、(5)「地理総合」を支えるための社会的環境整備の充実、をベースに、文部科学省や地方公共団体の教育委員会で具体的に「地理総合」の実施に関わられている以下の登壇者(敬称略)にご講演いただきます。
橋本幸三(京都府教育委員会教育長)「地理教育への期待」
中嶋則夫(文科省教科調査官)「「地理総合」・「地理探究」の具体像」
濱野清(広島県教育センター副所長)「改訂学習指導要領において地理に求められたこと」
片桐寛英(山形県教育庁教育次長)「新しい地理教育への期待と課題」
小林正人(東京都教育庁情報企画担当課長)「都立高校における教育環境の整備と地理総合」
その後、第25期地理教育分科会委員長の井田仁康の司会のもと、由井義通氏をコメンテーターとして論点整理をお願いし、登壇者を交えて総合討論を行います。そこでは、2022年4月からスタートする新しい地理教育に向けて、その1年前の今、まさにすぐに行わなければならないことは何かを明らかにします。
参考文献
学術の動向『特集 地理総合と歴史総合─何が変わるのか、どう向き合うのか─』、2019年11月号(日本学術協力財団)。
日本学術会議地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同地理教育分科会、提言「「地理総合」で変わる新しい地理教育の充実に向けて—持続可能な社会づくりに貢献する地理的資質能力の育成—」、2020年8月25日。