日本地理学会発表要旨集
2022年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P018
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発表要旨
牡蠣養殖場から発生する竹廃材を地域資源化する試み
*西城 潔阿部 壽夫鈴木 真希
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抄録

宮城県松島湾の牡蠣養殖場の養殖棚・養殖筏から発生する竹廃材は、従来、産業廃棄物として処分されてきた。発表者らは、この竹廃材を炭焼きにより地域資源化するプロジェクト(いかだ炭プロジェクト)に取り組んでいる。本発表では、本プロジェクトの基本構想、活動内容、その成果と課題について報告する。

 竹廃材炭化の目的は、廃棄物の減量、竹炭の機能を活かした環境改善(土壌改良、脱臭吸着等)、炭素固定、環境教育の実践であり、その実現のため、定期的な炭焼き講習会の開催、生成した竹炭(いかだ炭と命名)の特性分析とその結果にもとづく商品開発を行ってきた。講習会参加者へのアンケート結果から、以上に挙げたプロジェクトのねらいは概ね支持されているといえる。また分析の結果、いかだ炭は通常の竹炭・木炭に比べ、比表面積が大きい、悪臭物質に対して優れた効果を発揮するなどの特徴をもつことが明らかになった。こうした特性は、材料の竹が長期間海水に浸かっていた影響とみられ、牡蠣養殖業由来の地域資源としての有効性を示すものと考えられる。

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