日本地理学会発表要旨集
2022年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 210
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発表要旨
風ベクトルと真反対ではない大気境界層における摩擦力の幾何学的誘導
*中川 清隆渡来 靖
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抄録

定常状態における水平方向の運動方程式は,気圧系努力、コリオリ力,摩擦力の3力の釣り合いとして表される.摩擦力・加速度が存在しない時に吹走する仮想の風である地衡風????(????, ????)は気象・気候教育で最も重視される概念である.

 摩擦力の影響を無視できない大気境界層においては,摩擦力の具体的な姿が重要となる.多くの気象学の教科書は,摩擦力は風ベクトルと真反対の方向を向いているとしており、風は、摩擦力??が存在しなければ地衡風となるが,摩擦力が強くなるほど非地衡風が強くなり,等圧線を大きな角度で横切って高圧側から低圧側に吹走する、と説明する.しかし,このような説明は読者に摩擦力が運動方向とは真反対に作用するとの誤謬を与えることが懸念される.

 島貫(1980)は摩擦力 が風とは真反対方向の場合のホドグラフは円となり決して螺旋にはならないことを幾何学的に証明し,摩擦力は運動方向と真反対ではない旨警鐘を鳴らした.小倉(1999)は,風ベクトルと方向がずれている場合の摩擦力の作図法を示した.

 そこで本研究は,小倉(1999)が示す風ベクトルの非地衡風と摩擦力が直交することを幾何学的に示した.

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