主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2022年度日本地理学会秋季学術大会
開催日: 2022/09/23 - 2022/09/25
高等学校での必履修科目「地理総合」が今年度から始まった。一方で、高等学校における地理教育の新たな課題や、小学校から中学校、そして大学における地理教育の課題もでてきている。そこで、本シンポジウムでは、「地理総合」をはじめとする地理教育の課題を実施形態および自然地理・環境防災、地誌国際理解、地図/GISといった学習内容、さらには大学教育までを含めて整理し、持続可能な地理教育とするための議論をしていく。なお、本シンポジウムは令和2年(2020年)8月に日本学術会議地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同地理教育分科会が発出した提言「「地理総合」で変わる新しい地理教育の充実に向けて-持続可能な社会づくりに貢献する地理的資質能力の育成-」の検証および学術会議第25期(2020年10月から2023年9月)の地理教育分科会としての意思の表出に向けた議論の意義をも持ち合わせている。
上述した学術会議地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同地理教育分科会は、地理教育が文系、理系の双方にかかわることから、文理融合の分科会となり、それぞれの課題に対応した5つの小委員会を有している。すなわち、学校地理教育小委員会、地図/GIS教育小委員会、地誌国際理解教育小委員会、自然地理学・環境防災教育小委員会、大学地理教育小委員会である。本シンポジウムでは、それぞれの小委員会が、地理教育の課題として議論してきた内容を発表し、さらに議論を踏まえ、意思の表出としてまとめたいと考えている。
上記の5つの小委員会では、それぞれ焦点を絞って課題調査なども踏まえて課題を整理した。本シンポジウムでは、それぞれの課題を踏まえての5本のテーマの発表をおこなう。なお、( )内は関係する小委員会である。
・始まった地理総合の効果的な支援に向けて-地理総合に 関するWEBアンケート・カリキュラム調査の最終報告-(学校地理教育)
・地理総合におけるGIS教育(地図/GIS教育)
・報じられる地理総合、教えられる地理総合―国際理解と国際協力について―(地誌国際理解教育)
・自然地理教育の実践から明らかになった課題とそれをふまえた環境防災教育への展望(自然地理学・環境防災教育)
・私立大学の新課程入試への対応について-高等学校地理歴史科教員免許の課程認定を受けている大学の事例(大学地理教育)
教育には終わりがない。地理が高等学校で「地理総合」として必履修化されても、高等学校の地理教育が完成したわけではない。制度、学習目的、学習内容、学習方法などからのさらなる課題がでてくる。高等学校だけでなく、小学校から大学までの地理教育の改善点はまだまだ多い。しかし、その時々の課題を克服し、新たな課題を見出していくことが教育としての進展であるともいえる。その時々の課題を検討し改善していくことで、持続可能な社会にとっての地理教育、子どもにとって意義の深い地理教育、人々がWell-beingとなる地理教育へと邁進していくことになる。