洪水災害対応を十分に機能させるためには、住民や自治体関係者があらかじめ河川や洪水氾濫の特性を学んでおくことが重要である。この学びの基礎となるのは地理的な見方・考え方であり、避難の危機意識を醸成するための手段の一つとして、仮想現実(VR: Virtual Reality)に代表される可視化技術がある。本研究は、熊本県熊本市において、住民や関係者らを対象に仮想避難体験プログラムを提供し、洪水特性の理解や避難意識の向上に役立つか検証した。その結果、このようなプログラムは洪水災害のような非日常現象に関する想像力を養い、避難意識を高める学びの機会となるばかりでなく、地域を見つめ直し、強靭性や持続可能性を向上させる足掛かりとなる可能性が示唆された。