日本地理学会発表要旨集
2022年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 332
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発表要旨
古代ラテン語文献における「地理学」関連語彙の使用状況
*立岡 裕士
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抄録

現在の地理学に基づいて過去の社会の「地理学」を考えるという錯誤を防ぐには、それぞれの社会で「いかに地理的知識があったか」を明らかにする必要がある。この問題のうち、地理的知識を他から区別する志向(思考)の重要な要素が呼称である。今回は古代ラテン語文献における「地理学」関連の語(geographia, cosmographia, chorographia, topographia)の使用状況を調べる。

 資料として利用したのは、Riese(1878)所収の文献に、ラテン語辞典の用例(Oxford大のDMLBSのサイトで提供されているものに、紙の2辞書を加える)、Tufts大のPerseusおよびCarey., W.氏のthe Latin Libraryに収録されたラテン語文献である。

 以下の点が明らかになった:①今回の調査範囲では使用例は少ない。②geographiaはcosmographia・chorographiaに比べて使用されることが少ない。③これらの語はギリシア語文献で多く使用されるようになったBC1Cにラテン語に移入されたが、その後はAD4Cまで使用が絶える。

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