Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
室内観賞植物の有無がオフィルビルにおける室内空気の質や社員の健康状態に及ぼす影響
Kim Ho-HyunLee Jae-YoungYang Ji-YeonKim Kwang-JinLee Yong-JinShin Dong-ChunLim Young-Wook
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2011 年 80 巻 1 号 p. 96-102

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抄録
韓国ソウル市内のオフィスにおいて,室内鑑賞植物の設置が空気環境および社員の健康に及ぼす影響を 2006 年 10 月から 2007 年 7 月にかけて調査した.7 階建て以上のオフィスビルを二つのグループ,2005 年から 2006 年に新築された 6 つの新しいビル,および,1990 年から 1992 年に建てられた 6 つの古いビルに分類し,各ビルの 3 階に室内鑑賞植物を設置し,4 階を室内鑑賞植物のない対照区とした.室内のホルムアルデヒドおよび BTEX(ベンゼン,トルエン,エチレン,キシレン)濃度を調査するとともに,社員の健康状態をシックハウス症候群(Sick Building Syndrome, SBS)発症程度やホプキンス症状チェックリスト(Symptom Checklist(90)Revised, SCL-90-R)などのパラメーターにより評価した.室内のホルムアルデヒド濃度は,換気あるいは室内植物の設置を単独で行っても変化がみられなかったが,これらの処置を併用することにより,新しいビルおよび古いビルにおいて,それぞれ 80.8 から 66.4 μg · m−3 および 23.3 から 18.6 μg · m−3 に減少した.BTEX 濃度は部屋により大きく異なっていた.BTEX 濃度が高い部屋では換気によりこれらの濃度がはっきりと低下したが,室内植物の設置のみでは減少はほとんどなかった.新しいビルでは,社員の SBS 発症程度は換気あるいは室内植物の設置によりほとんど変化しなかった.一方,古いビル内においは,換気と室内植物の設置の併用により SBS 発症程度が軽減された.SCL-90-R を用いた社員の精神的健康状態の調査では明確な傾向はみられなかった.
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© 2011 園芸学会
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