日本地理学会発表要旨集
2022年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P024
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石垣島の水環境に関する研究(2)
*三浦 エリカ小寺 浩二
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抄録

Ⅰはじめに

石垣島では、観光地化に伴うホテル建設が近年さらに増加している。しかし、地域によっては下水道が整備されていないところもあるため、人口が集中することにより、河川や海洋の水質汚濁に繋がることが懸念される。本研究では、地域住民と連携し、定点観測した河川の水質特性を明らかにする。特にECの数値が高い市街地を流れる河川の成分を特定し、水質改善をしていくことが目的である。

Ⅱ研究方法

住民によって月一定点観測が行われ、研究室にサンプルが定期的に輸送される。現地では、気温、水温、pH、RpH、電気伝導度(EC)、CODを測定し、研究室では再度ECの測定、ろ過(+メンブレン)、イオンクロマトグラフィーを用いて主要溶存成分の分析を行った。

Ⅲ 結果と考察

市街地の定点観測場所である、新川川阿武奈橋では、年間を通してECの値が1,000μS/cmを超えることが多く、2021年6月には、ECの値が6,320μS/cmを観測した。イオンクロマトグラフィーを用いて主要溶存成分の分析を行った結果、生活排水の影響を受けていることが分かった。また、阿武奈小橋では2020年6月~2021年11月の平均EC値が485μS/cmであり、阿武奈橋同様、生活排水の影響を受けていた。一方で、阿武奈橋のEC値が異常に高いことから、生活排水だけでなく、工場廃水も水質汚染の要因になっていると考察をした。赤下橋では、塩水遡上が確認できたため、2021年9月から、平喜名橋(宮良川)、川原橋(宮良川)に採水地点を変更した。平得大俣では、2020年6月~2021年11月の平均EC値が465μS/cmであったが、トリリニアダイアグラムからは、一般的な河川に分類され、水質汚染は確認されなかった。

Ⅳおわりに

石垣島では、観光客や移住者によって、特定の地域で人口が増加し、ホテル建設も増加している。一方で、市街地を流れる河川では水質汚染が深刻化している。地域を流れる河川の水環境を、地域住民が関心をもち、水保全をしていくことが重要である。 参考文献 小寺浩二,米山亜里沙,飯泉佳子,寺園淳子(2009):石垣島諸河川の流域特性と物質流出特性,日本陸水学会講演要旨集.

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