Ⅰ.はじめに ・研究目的 神社の野外寄進物には,社号標,鳥居,灯篭,狛犬などがある。これらには寄進者の名称,居住地,寄進年代などが刻まれている場合が多く,文化的遺産といえる。大地震発生時には野外寄進物が倒壊,破損した事例も多い。平常時の調査,記録が必要である。本稿では石川県下主要神社20社の野外寄進物について調査し,特色を明らかにすることを目的とする。 ・研究方法 参考図書,市町村史,神社誌等文献調査と現地調査による。現地調査では,野外寄進物の分布,種別,材質,年代,寄進者名,居住地,サイズ等を調査票や写真等に記録して分析する。寄進者居住地は都道府県単位,石川県内はさらに市町村単位とする。調査結果は2021年5月現在である。
Ⅱ.調査対象神社の概要 内訳は旧社格で國幣大社が気多神社,國幣中社が鶴来白山比咩神社,國幣小社が大聖寺菅生(すごう)石部(いそべ)神社,別格官幣社が金沢尾山神社である。県社が14社,珠洲須須(すず)神社,輪島重蔵(じゅうぞう)神社,羽咋(はくい)神社,金沢五社(野町神明宮,椿原天満宮,宇多須神社,小坂(こさか)神社,安江八幡宮),金石(かないわ)大野湊神社,松任若宮八幡宮,松任(まっとう)金剣宮,鶴来金劔宮,美川藤塚神社,小松莵(う)橋(ばし)神社である。郷社が2社で石動山(せきどうさん)伊須流岐比古神社,二宮(にのみや)天日陰比咩神社である。
Ⅳ.まとめ 寄進数の増減は社会情勢(戦争)や景気の影響を受けやすい。 神社立地市町住民が寄進の中核で,地元市町出身者が加わる。