日本地理学会発表要旨集
2023年日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 415
会議情報

豪雪地帯と非豪雪地帯における降雪量の風依存性の違い
*山本 諒立花 義裕
著者情報
キーワード: 気候, 豪雪, , 降雪分布
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

本研究では、冬季の日本における近接した地点の降雪量に違いがある理由を解明するため、各地点の風と降雪日数に着目した。 まず、季節降雪量と降雪日数の関係に着目した。次に、風との関係に着目した。気候学的な風向、降雪日の最頻風向、最も雪が降りやすい風向を豪雪地帯と非豪雪地帯で比較した。使用したデータは、日本の気象官署99地点における日降雪量観測データで、解析期間は1961/62年から2021/22年の12月から3月までである。風データとしては、気象庁長期再解析データ(JRA-55)の925hPa面における日風速データを使用した。なお、観測地点を原点とし、第2象限方向の最短格子点のデータを使用した。 本研究では、「岩見沢」「倶知安」「青森」「新庄」「高田」の5地点を豪雪地帯と定義しました。これらの地点は、平均4ヶ月降雪量の上位5地点である。一方、それ以外の地点は非豪雪地帯と定義した。解析の結果、豪雪地帯の5地点は降雪日数についても上位5地点であることが分かった。また、これらの観測点で、気候学的な風向と降雪日の最頻風向を比較したところ、豪雪地帯では2つの風向が一致することが分かった。しかし、非豪雪地帯でも両風向が一致していたため、次に気候学的な風向と最も雪が降りやすい風向を比較した。その結果、豪雪地帯のほとんどの地点で2つの風向が一致し、一方で非豪雪地帯ではほとんどの地点で一致していないことが分かった。本研究の結果から、豪雪地帯は非豪雪地帯に比べて、地形や大規模擾乱の影響を受けて、冬季に日常的に吹く風向で雪が降る可能性が高いと考えられる。また、このような気象・気候学的な研究が、地理学の発展にもつながることを期待したい。

著者関連情報
© 2023 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top