日本地理学会発表要旨集
2024年日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 213
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我が国における都市化昇温がソメイヨシノの生物季節に及ぼす影響の評価
*平間 千尋堅田 元喜コノリー ロナンスーン ウィリーオニール ピーター前田 滋哉
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抄録

地球温暖化による生物季節(ソメイヨシノの開花日や満開日など)への影響が懸念されているが,過去の長期観測データには都市化昇温(ヒートアイランド)の影響も含まれている.既往研究でもソメイヨシノの開花は都市の中心部に近づくほど早いことが指摘されているが,全国規模での実態は不明である.さらに,生物季節観測指針制定(1953年)以前の観測データは紙媒体の状態で保存されており,過去100年間の評価は困難である.そこで本研究では,全国のソメイヨシノ観測地点から都市部と農村部を分別抽出した上で,1953年以前の観測資料を電子化して過去100年間の開花日・満開日の長期トレンドを復元する.1953~2010年における都市部の開花日の変化率の推計値は農村部の約3倍となり,開花の早まりが都市化昇温による可能性があると示唆された.また,各地点におけるこの変化率は都市化の指標や3月の平均気温の上昇とともに増大する傾向が見られ,都市部の多くの地点で過去70年間開花が早まってきた理由は都市化が進み冬季の気温が上昇したためであると考えられた.

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