主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2024年日本地理学会秋季学術大会
開催日: 2024/09/14 - 2024/09/21
これまで東南・南アジア地域は,欧米にくらべ経済開発がおくれ,被害対象の蓄積が小さかった.その結果として,相対的に災害の規模は大きかったのにもかかわらず,被害規模は限定的であった.しかし急激な経済成長と,社会インフラ整備の遅延は,被害対象の蓄積をもたらし,甚大な被害が毎年のように発生している.この災害の増加は,当該社会が潜在的にかかえる脆弱性や課題を社会問題化させる契機となりつつある。この社会問題としての災害への関心は,既存のハード中心の防災対策のみでは減災に帰結しない事実を想起させ,「流域治水」(国交省,2020)への政策転換は,まさに『技術論の限界性』を照射させた. 今後も罹災規模の拡大が懸念されるなか,工学的な防災対策のみではなく,ローカルな自然と人間との関係性の検討は,減災の観点や,世界の食料供給の8割を生産し,化石燃料に依存の少ない家族農業の「離農」,農村の「過疎」問題解決は喫緊の課題である。
したがって本研究では,①「過疎」と「離農」を経済的に共通的な現象である「グローバル問題」としての比較軸を設定し,各国・地域での「過疎」と「離農」の背景と現状を具体的に解析する.そして,②当該問題の発生契機としての災害を地域間で相関し,相対化することで,③各国・地域の災害と人間の社会経済活動の関連の多様性を「災害誌」として相対化し,課題解決モデルの提示試みている.