日本地理学会発表要旨集
2024年日本地理学会春季学術大会
セッションID: 212
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木曽川中流域における一宮市のヒートアイランドの季節変化の特性
*大和田 春樹大和田 道雄三輪 英
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抄録

研究背景・目的

 地球温暖化に伴う近年の異常猛暑や山火事,洪水,干ばつなどの異常気象は,世界各地で頻繁に報告されている。その原因が温室効果ガスの排出によるものであることはIPCCや環境省の報告でも明らかである。しかし,これらの研究は,地球規模での研究が中心であるため,人々が生活する身近な地域の変動を反映しづらい面がある。

 そこで,本研究会では,地球温暖化に伴う気温上昇の過程を,気象庁のアメダスデータだけでなく,気象観測を併用することで,日本の地域の気候学的特色を明らかにしてきた。特に,人口の集中する都市部では,ヒートアイランドの形成が都市の高温化に拍車をかけており,近年では矢作川中流域で海陸風の影響を受ける愛知県安城市や,矢作川上流域で内陸の盆地に位置する豊田市のヒートアイランドが夏の暑さに及ぼす影響を調査してきた。

 研究対象地域である愛知県一宮市は,木曽川中流域に位置し,市街地を対象にした夏季の早朝及び日中の移動観測により,市街地中心部に高温域が出現することを明らかにした。また,猛暑日(最高気温35℃以上)や異常猛暑日(最高気温37℃以上)の出現日数は,一宮市で近年増加傾向が顕著であることも示したが,季節毎の特徴は確認できていなかった。

 したがって,本研究では,2015年に一宮市内に設置したデータロガーの気温データをもとに,一宮市の気温分布の実態を気圧配置ごとに調査し,海陸風との関わりを含めヒートアイランドの出現特性を季節別に明らかにすることを目的とする。

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