日本小児外科学会雑誌
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症例報告
皮膚型ヒトパピローマウイルス感染が示唆された小児尖圭コンジローマの1例
長谷川 真理子 神田 恒岡崎 英人菊地 健太五十嵐 昭宏畑中 政博重田 孝信土岡 丘
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2025 年 61 巻 2 号 p. 214-220

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抄録

尖圭コンジローマ(本症)は通常,粘膜型ヒトパピローマウイルス(HPV)6型11型により会陰部に丘疹状/鶏冠様疣贅を生じる,性行為感染症(STI)の一つである.今回粘膜型HPVの関与のない本症小児例を報告する.11歳女児,3か月前より膣に角状疣贅を認め,角化した先端が脱落するようになった.生検よりHPV感染及び本症の診断となり.イミキモド外用を開始したが皮膚炎を来たし切除術を施行した.膣,子宮頸部に病変なく,性的接触の可能性は低いと判断した.粘膜型HPV定性検査,PCRは陰性であったため,皮膚型HPV感染が示唆された.術後6か月再発なし.小児では医原性や感染経路不明も多く,尋常性疣贅を来たす皮膚型HPVも検出されうる.性的虐待の見極めは重要だが,常にSTIとは限らない.児は帝王切開であり,両親のHPV検査陰性で垂直-水平感染は否定的であった.未だ感染経路は不明であるが,組織像と粘膜型HPV陰性の結果から皮膚型HPV感染による本症が示唆された.

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