日本地理学会発表要旨集
2024年日本地理学会春季学術大会
セッションID: 709
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d4PDDFを用いた将来の日本における暑熱環境
*中島 虹今田 由紀子伊東 瑠衣岡 和孝
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キーワード: WBGT, d4PDF, 気候変動, 暑熱環境
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抄録

近年、日本において熱中症による救急搬送者数は高い水準であり、暑熱環境は厳しいといえる。今後、さらなる地球温暖化の進行が予測され、温暖化に伴う暑熱環境の変化を把握することの社会的意義は高いと考えられる。将来の暑熱環境を評価する際には、平均値の変化量だけでなく、例えば熱中症警戒アラート(暑さ指数(WBGT)≧33℃)発令頻度の変化のように頻度分布として把握することも重要である。頻度分布を把握するためには大規模アンサンブル気候予測データ(d4PDF)が有用である。本研究では、d4PDFを水平解像度5kmに力学的ダウンスケールしたデータセットを用いることで、将来の暑熱環境を把握することを目的とする。

解析の結果、現在気候では東京で8月の日最高WBGTが33℃となる頻度は2.88%であった。それに対して、将来気候における頻度は58.52%であり、月の半数以上で熱中症警戒アラートの基準を超えると予測された。また、日変化についても解析を行った。将来気候では、日中は「運動は原則中止」とされるWBGT≧31℃の頻度が60%以上となる。また、夜間においても「激しい運動は中止」とされるWBGT≧28℃の頻度が50%に達する。以上のように、将来気候では運動時の熱中症に対して、日中だけではなく夜間でも注意が必要となることが示唆された。

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