日本地理学会発表要旨集
2024年日本地理学会春季学術大会
セッションID: 838
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ウランバートル断層の南東部における最終氷期以降の活動
*後藤 秀昭渡辺 満久鈴木 康弘岩佐 佳哉中田 高
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抄録

ウランバートル断層(UBF)は,約30m間隔のALOS-30の数値表層モデル(AW3D30)をステレオ実体視することで最近になって見いだされた活断層で,モンゴルの首都であるウランバートルを横切って延び,最大延長は約50kmに達するとされる(Suzuki et al., 2021)。ウランバートルの北西に分布するUBF北西部はWNW-ESE〜EWで,UBF南東部はNW-SE方向に延びる。UBF南東部では,南西低下の左横ずれ変位とされる(Suzuki et al., 2021)。2022年夏に,UBF北西部において断層地形を横切るトレンチを複数,掘削し,その壁面を観察する地質調査を行い,活動性を検討した(渡辺ほか,2022)。古生界を切断するほぼ鉛直の断層が確認されたトレンチでは,その上位の礫層に明確な変位を見いだすことができなかったが,基盤岩まで掘削していない深度の浅いトレンチでは,礫層を切る北北西低下の小断層のほか,礫層中に挟まる2枚の黒土層が断層地形と調和的に変形している様子が確認でき,黒土層の放射性炭素測定値から完新世の活動が推定された。UBF南東部では,Suzuki et al.(2021)によりトレンチ調査が実施されており,約2〜3万年前に堆積した礫層が大きく変位,変形し,地表直下の風成層まで変形している可能性が指摘されている。しかし,完新世の明確な断層活動や活動間隔の情報は得られておらず,ウランバートル断層の地震危険度の評価は難しい状況にある。そこで,演者らは2023年夏に,UBF南東部を対象に,詳細な地形図を作成するとともに,トレンチ掘削調査を行い,活動性の検討を行った。本発表ではその内容と結果について報告する。

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