日本地理学会発表要旨集
2025年日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 505
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都道府県間人口移動変化の人口学的要因分析
日本人と外国人の比較を中心に
*小池 司朗中川 雅貴菅 桂太
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抄録

2020年代前半のコロナ禍を経て、国内人口移動は再び東京圏一極集中の傾向が強まっているが、このような人口移動傾向の変化を的確に捉えるためには、人口構造の変化に起因する要因(以下、人口構造要因)とその他の要因(以下、モビリティ要因)に分解して分析することが不可欠である。モビリティ要因の変化を詳細に分析することにより、地域別将来人口推計における人口移動の仮定設定に有用な知見が得られることが期待される。本研究では、日本人の都道府県間人口移動について1994~2024年、外国人の都道府県間人口移動について2014~2024年をそれぞれ分析対象期間とし、期間中における移動数の変化を人口構造要因とモビリティ要因に分解する。本報告では、とくに日本人と外国人の比較に焦点を当てる。

 日本人については、コロナ禍で転出モビリティは低下した一方で、転入モビリティは上昇したが、コロナ後においてはともにコロナ前に回帰する動きがみられた。外国人については、転出モビリティ・転入モビリティともにコロナ禍で大きく低下したが、コロナ後はともに急回復してコロナ前の水準を上回っていた。男女別に比較すると、とりわけ外国人女性のモビリティ上昇が著しい。外国人の都道府県間移動数の増加に関しては、人口構造要因(各都道府県における外国人人口の増加)の影響が大きいものの、モビリティ要因の上昇も相当程度寄与していることなどが明らかとなった。

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