主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2025年日本地理学会春季学術大会
開催日: 2025/03/19 - 2025/03/21
防災教育で取り上げられる災害は、地域の防災意識や災害伝承について考える上で重要な指針となる。防災教育の現場で伝承される災害は、学んだ児童生徒の記憶に残るだけでなく、家庭で話し合われ、コミュニティに広がっていくことで、地域の防災意識形成にも関わってくる。そのためコミュニティスケールでの防災意識・災害伝承の地域性を明らかにするために、小学校での防災教育や郷土教育、総合的な学習の時間で取り扱われる災害と、その頻度を調査し、それぞれの災害伝承の時間的・空間的な広がりについて考察していくことが必要であると考える。そこで本研究は、事例が少ない火山災害に焦点を当て、地域による防災教育の違いを調査することで、火山地であることがもたらす防災教育への影響を明らかにすることを目的とする。鹿児島県鹿児島市にある桜島に関連した防災教育について鹿児島市が行っている取り組みをまとめた上で①鹿児島市立東桜島小学校②鹿児島市立原良小学校③鹿児島市立紫原小学校への聞き取りを行い、そこで取り組まれている防災教育や郷土教育、総合的な学習の時間で取り扱われる災害とその頻度を調査し、知識・実践の両面から分類して火山地であることが防災教育に与える影響を分析した。その結果以下の3点が指摘された。(1)実践を伴う防災教育においてはそれぞれの地域で頻度が高いと想定される災害が選択されており、桜島島外では火山災害の影響が見られない。(2)知識に関する防災教育においては桜島島外でも火山の取り扱いがある。(3)知識に関する防災教育においても地域差が見られる。