日本地理学会発表要旨集
2025年日本地理学会春季学術大会
セッションID: P072
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東京都世田谷区,等々力渓谷の形成史
*植木 岳雪
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抄録

等々力(とどろき)渓谷は,多摩川下流部,東急大井町線等々力駅のそばにある長さ約1 kmの渓谷であり,東京都区部で唯一の自然の渓谷である.等々力渓谷の形成時期と成因については,先史時代の河川争奪という自然現象説と,江戸時代の開削工事によるという人為説がある.また,自然現象説でも,河川争奪の時期についてはわかっていない.

 本研究では,かつて等々力渓谷の北側を西から東に向かって流れていた旧九品仏(くほんぶつ)川の低地において,ボーリング調査を行った.旧九品仏川の細粒堆積物は,約3万年前から9,000年前の年代を示した.そのことから,旧九品仏川は,武蔵野面の離水以降完新世初頭までは東に流れていたことになる.したがって,矢沢川によって旧九品仏川の流路が争奪され,等々力渓谷が形成されたのは,完新世初頭以降となる.

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