抄録
目的:クラスプとして金銀パラジウム合金に比較し,GFRCの一つであるエステニアC&B EGファイバー(EG)は優れた疲労耐久性を示す.しかし,定変位疲労試験後のEGクラスプには,ガラスファイバーの剥離や亀裂が生じるなど臨床応用前に解決しなければいけない問題点も提起されている.本研究では,ガラスファイバーの剥離や亀裂の抑制を目的として,EGクラスプ外面にハイブリッドレジン(HR)を積層し,その疲労耐久性を評価した.
方法:GFRCとして,エステニアC&BのEGファイバー,HRとしてエナメルボディーを用いた.定変位疲労試験ではEG/HRクラスプに一定変位(0.5mm)を20,000回まで繰り返し負荷した.また EG/HR積層試料を最長4週間水中保管し,最大曲げ荷重に与える吸水の影響も併せて評価した.
結果:負荷20,000回までは,EG/HRクラスプは破折や永久変形そしてHR層の剥離や脱落を示さず,十分臨床応用可能であった.しかし負荷3,000回でEGとHRの境界で微小な亀裂が認められ,その後20,000回まで亀裂は成長した. EG/HR積層試料の最大曲げ荷重は吸水2週間および4週間で吸水前と比較して有意差は認められなかった.
結論:EG/HRクラスプは,5年間の義歯の着脱を想定した繰り返し変位を負荷しても,破折や永久変形そしてHR層の脱落を示さなかった.