抄録
症例の概要:患者は56歳の女性で,顎関節部の雑音と疼痛を主訴に来院し,口腔外科での処置により症状が軽減していた.修正義歯で顎位を決定し,メタルコーピングとミリングテクニックを適用した歯冠修復と部分床義歯を作製した.約8年後に,人工歯の咬耗のため金属歯を用いた義歯を再作製した以外は,約14年間,経過は良好である.
考察:ミリングテクニックの適用による義歯と下顎位の安定に加え,メタルコーピングによる義歯の支持と残存歯の長期保存,さらに金属歯による咬合関係の長期維持は,顎関節症の再発防止に有効であったと思われる.
結論:ミリングテクニックの適用は,義歯の安定をもたらし,顎関節の保護にも有効であった.