日本補綴歯科学会誌
Online ISSN : 1883-6860
Print ISSN : 1883-4426
ISSN-L : 1883-4426
◆企画:日本補綴歯科学会学術賞受賞記念論文
メタルフレームを用いたカンチレバーブリッジの生存率と合併症:文献的レビュー
矢谷 博文
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 11 巻 3 号 p. 193-205

詳細
抄録

目的:メタルフレームを用いたカンチレバーブリッジの生存率と合併症に関する系統的文献レビューを行い,評価すること.

方法:メタルフレームを用いたカンチレバーブリッジの生存率,失敗のリスクファクターならびに合併症について,適切なMeSHの選択と包含基準の設定を行ったうえで,PubMedからコンピュータオンライン検索を行った.検索された文献の抄録を精読してさらに文献を絞り込み,ハンドサーチによる論文も加えて最終的に21論文を選択し,レビューを行った.

結果:得られた結果は以下のとおりである:1)MIを具現化する少数歯欠損補綴法としてのカンチレバーブリッジ,特に接着カンチレバーブリッジの生存率,成功率は高く,2リテーナー型の接着ブリッジよりも優れた臨床成績が得られている,2)症例選択はカンチレバーブリッジ成功の重要な要素であり,欠損部位としては,上顎側切歯,上顎中切歯,下顎前歯,上下顎小臼歯が適しており,欠損歯数は1歯で支台歯は生活歯であることが望ましい,3)最も頻度の高い合併症は,全部被覆型カンチレバーブリッジでは生物学的合併症(カリエス),接着カンチレバーブリッジでは技術的合併症(脱離)であり,ともに歯周組織に及ぼす影響は少ない,4)接着カンチレバーブリッジを成功に導くためには,2 リテーナー型の接着ブリッジにおいて確立された接着技法を遵守することが重要である.

結論:メタルフレームを用いたカンチレバーブリッジの生存率,成功率は高く,また2 リテーナー型ブリッジを上回る利点を多く有し,少数歯欠損補綴法のオプションの一つに加えられるべきである.

著者関連情報
© 2019 公益社団法人日本補綴歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top