認知症患者の数,推計462万人.何れの国も経験したことがない超高齢社会を生きる日本.Alzheimer病に限ってすら根本治療が存在しない現状において,医療者がなすべきことは一層の疾患啓発と先制的予防介入であろう.認知症施策推進総合戦略「新オレンジプラン」では,こうした取り組みが国策として希求されており,認知症疾患への予防から治療まで,関係各診療科で調査および研究が行われている.こうした中にあって,多くの示唆に富む報告が口腔領域よりなされているが,コンセンサスの得られた共通の知見と成り得ていない.何故こうした事象が生じるのだろうか.本稿では「共通言語」をキーワードにその理由を考え,課題解決への方法を考えてみたい.