2020 年 12 巻 2 号 p. 172-175
症例の概要:患者は74歳男性,上下顎全部床義歯の不調による咀嚼困難を主訴に来院した.咬合可能な個人トレーを用いて閉口印象を行い,上下顎全部床義歯を製作したが,下顎前歯部床下粘膜の疼痛が続いたため,ダイナミック印象を行い,間接法にてリラインを行い,義歯を完成した.
考察:下顎前歯部に過圧が認められた原因としては,閉口印象時の患者の咬合力が適切でなかった可能性や,トレーの偏位により前歯部に過度な印象圧が加わりやすい状態であったことが考えられる.
結論:最終印象時に生じた過圧を,ダイナミック印象を行うことによって補正し,最終的に患者の満足ならびに咀嚼機能の回復を達成した.