2020 年 12 巻 2 号 p. 176-179
症例の概要:患者は59歳男性.義歯の不安定,咀嚼困難・審美不良を主訴に紹介受診した.全顎的な咬耗による咬合高径の低下,それに起因する上下顎部分床義歯の不安定と下顎前歯の審美障害を認めた.咬合挙上後,上顎の部分床義歯を固定性補綴装置に置き換えることでアンテリアガイダンスを強固にし,生理的咬合を安定させることで,全顎的な改善を図った.
考察:上顎の部分床義歯が固定性補綴装置に置き換わったことで,下顎前方運動時の咬合が安定し,患者の満足を得ることができた.
結論:咬耗の原因を正しく診断し予後を踏まえた治療を行うことで,補綴治療後の長期的な安定を得ることができたと考えられる.