2022 年 14 巻 4 号 p. 357-362
現代の歯科医療の進歩を牽引するデジタル技術による歯科医療,いわゆるデジタルデンティストリーは,歯科医療技術の向上だけでなく,それらのあり方を変革しつつある.しかし,顎運動に関連する臨床術式は術者の経験や技術に頼っている主観的な部分が多く,デジタルワークフローに反映させることは非常に難しい.そのためには顎口腔の形態と機能をデジタル化し,統合・解析することで顎運動についてできるだけ可視化・標準化し,「Science」と「Art」の両立を目指す必要がある.今回は顎運動のデジタル情報によって,日々の補綴臨床の試行錯誤的な部分の効率化と治療法のシステム化,簡素化を目指した取り組みについて説明したい.