2023 年 15 巻 4 号 p. 427-433
パーシャルデンチャー治療における難症例とは,「通常の義歯設計や製作を行ったとしても患者の満足が得られない症例群」であり,すれ違い咬合はその最たるものとされている.すれ違い咬合の問題点は,術前は著しく悪化した残存歯や顎堤と崩壊した咬合への対処であり,術中は咬合挙上を含む顎位の修正と再構築が挙げられ,術後は義歯の破損と回転変位への対応が余儀なくされることにある.
そこで,すれ違い咬合治療の難点を再考し,分類とそれぞれの特徴について概説するとともに,すれ違い咬合に対するパーシャルデンチャーの設計指針を提示し,治療上の注意点とインプラント支持の有効性,義歯装着後の回転変位への対応について解説する.