2023 年 15 巻 4 号 p. 535-538
症例の概要:患者は71歳の男性.上顎右側中切歯の歯冠破折を主訴に来院された.歯肉縁下に及ぶ歯冠破折を認めたため,抜歯を提案したが,保存的な処置を希望されたため,プロビジョナルレストレーションによる経過観察を行ったうえで歯冠補綴処置を行った.
考察:最終補綴装置装着後,約5年間,破折や脱離を認めず,患者は審美的にも満足していることから,良好な経過を得ていると考えている.
結論:プロビジョナルレストレーションに適切なサブジンジバルカントゥアを付与することにより歯間乳頭を再建し,経過観察を行い,適切な形態を最終補綴装置へ移行することで,審美的に良好な結果を得ることができた.